コロナ禍でも多様性を止めない!

1月30日(土)に、東京ボランティア・市民活動センター運営委員会企画のシンポジウム「コロナ禍とボランティア・市民活動~これまでとこれから~」にオンライン参加しました。

茨城大学教育学部教授の瀧澤利行さんは、新型コロナウイルスの潜伏期間の長さや症状がなかったりほとんど自覚がなかったりする不顕性感染などのウイルスの特徴に感染防止の難しさがあり、対面のコミュニケーションや市民活動への課題となっているだけでなく、「多様な」人たちが関わることが感染拡大につながる要因につながるリスクとなる難しさを指摘されていました。

活動の現場からの報告事例でも:

  • いままで自分たちの活動を利用したことがないとか、活動の存在を知らないという人たちに「気軽に頼ってほしい」というメッセージがどう伝えられるか
  • コロナ禍で「気軽にどうぞ」とも言いにくい
  • ボランティアなども募集できず、オンラインで活動できるもののみに限られてしまっていて、たとえば大学生などの若者の孤立・孤独が心配
  • 団体の中でも「これはできるのではないか」という意見と「いまはやめておく方がいい」という意見の対立がある

などの声もあがっているなどの指摘がありました。

支援やつながりを必要としている人たちや、支援を担う人たちとどうつながれるか、感染拡大状況が刻々と変わるなかで細かい調整をくわえながら、社会の支援の制度のはざまに落ちてしまったまま気づかれない人がでないように工夫されていることが伝わりました。「分断」をどう防ぐかが、カギになってきます。

一方で、ビデオ通話などによるミーティング形式の導入や、地域のイベントでも全国どころか全世界から参加が可能になるなど、新たな活動や参加の形態も普及このように、コロナ禍で新たに関われる人が増える手法も市民活動に定着してきた面もあります。実際、このシンポジウムには、オンラインで最大150名くらいの方が参加されていたようです。東京ボランティア・市民活動センターを利用されたことがある方ですと、一番大きな会議室に入れる人数は最大80名くらいだということはご存知の方も多いかもしれません。コロナ禍では、この半分か3分の1くらい入れるか、というところでしょう。それが150名(+会場には関係者の方も含め20名くらいいらしたのでしょうか?)が参加できたわけです。このように、活動の新たな可能性をひろげるのと、感染防止しながら対面でできることを模索していく状態がこれからしばらく続くと思われます。

私も支援方法と実際のプロジェクト実施の両面で、コロナ禍にできることを引き続き、模索していきます。やはり、日本にも国籍や民族という意味だけでなく、さまざまな環境の人たちが暮らしていますし、その環境も変わります。このように多様な状況にある人たちが、たとえ世の中が災害や不況などによって辛い立場に置かれていても、なんとか生きていけて、その「自分の命をつないだ先」にまた希望があるという社会を創っていくために、できることをしていかないといけないのだと思います。世の中のために自分の心身がつぶれてしまってはいけませんから、頑張れる分だけいいと思います。

心の片隅で「孤独におしつぶされそうな人はいないか」と考えるだけでもいいので、しんどい思いをしている人たちを見て見ぬふりをしたり、「自助でなんとか頑張っててください」と切り捨てないことが大切です。その意味で、今回のシンポジウムで事例を報告されたみなさんは最前線で本当に試行錯誤されていらっしゃって、とても感銘をうけました。多様性を意識した活動は、本当に必要だとあらためて思いました。

(中原)