目次


NPOリスク・マネジメント・オフィスについて

ミッション (NPOリスク・マネジメント・オフィスの使命)

多様な背景や価値観を持つ人たちが生きやすいと感じ、参加したいときには安心して参加できる社会を実現する。

活動の基となる価値 
(NPOリスク・マネジメント・オフィスが大切にするもの)

1)多様性
 国籍や民族、人種、ジェンダー、性的志向、障がい、宗教、家庭環境など、さまざまな背景や価値観を持つ人たちが差別されたり抑圧されたりすることなく、必要なときに必要な支援を得たり提供したりしながら、「そのまま」を受け入れたり尊重したりしあう社会が理想的だと考えます。

2)持続可能性
 人々の多様性や自然環境などを大切にする持続可能な社会が、現在そして将来にわたって人が他の人や自然と共生し、豊かな文化や自然を維持することにつながります。

3)リスク・マネジメント
 そのような社会の実現のために活動する個人や組織が「非営利」「ボランティア」「善意」に甘えることなく、自分たちの活動や組織にともなう法的・社会的責任を理解し、活動者たちがリスク・マネジメントに取り組むことが重要だと考えます。

4)社会資源の有効活用
 社会の多様性や持続可能性を実現のため、個人や1つの組織では十分に確保することが難しい、活動に必要な人や知識や情報、設備などの社会資源を共有するなどの有効な活用が有用だと考えます。

5)アドボカシーやロビイングと民主主義
 上記のような社会のよい価値を実現し、よりよい社会をめざすために、人々とのさまざまな協力活動だけでなく、法制度の整備のための政策提言活動などのアドボカシーやロビイングも必要だと考えます。そして、アドボカシーやロビイングを民主主義の重要な側面の一つととらえ、これらの活動にも取り組むことで民主主義の発展に寄与します。

スローガン

いいことは、うまくやろう!

 

重点領域

 NPOやボランティアにこそ、リスク・マネジメントは必要です。自分たちの「よりよい社会をめざしたい」という想いや活動を、防げたかもしれない事故などで無駄にしてしまったり、笑顔になってほしいと思っていた人たちを傷つけてしまったりすることは、防がなくてはなりません。とはいえ、リスク・マネジメント部門を自分の組織に設置したり、リスク・マネージャーを置いたりするのは難しいNPOがほとんどだと思います。
 そこで、上記のミッション、ビジョンそしてスローガンにもとづき、「NPOの“外付け”リスク・マネジメント部門になれれば」という想いから、NPOリスク・マネジメント・オフィスでは、とくに以下の4つの領域に重点をおき、活動しています。(1から4の順に優先順位をつけているわけではありません。)

1)リスク・マネジメントを市民活動・ボランティア活動の「必須なもの」にする普及活動
 リスク・マネジメントは「自分たちが責任に問われないようにするためのもの」とか、「何か起きたら困るからと活動を萎縮させてしまう、チャレンジ精神と相反するもの」と思われがちです。「自分たちはまだそこまで考えるような組織になっていない」と、リスク・マネジメントを贅沢品・嗜好品のように考えるNPOも多いです。リスク・マネジメントは「最初から組織として考え・実施するべきもの」であり「自分たちがめざす社会の実現のチャンスのためのもの」であることを、非営利セクターのみなさまにお伝えできればと思っています。地味な作業が多いですが、「安心して活動に取り組め、自分たちの活動が充実するチャンスを最大化するもの」というイメージを定着させるべく活動しています。

2)「シェアする(リスク・)マネジメント」のしくみ作り
 NPOも不祥事と無縁ではありません。すべてが悪意ある違法行為とも限りません。企業と異なり、1組織の不祥事で「やっぱりNPOってなんか怪しい」とセクター全体の風評被害に繋がってしまうこともあります。自前でマネジメントに十分な予算や人員を避けないことも多いNPOが、いかにして活動を充実させながら、その活動を支えるマネジメントにも取り組んでいけるしくみ作りに取り組みます。たとえばマネジメントの専門家をシェアしながら「採用」したり、悩みやノウハウを共有する場をもうけるなど、他団体や個人と協力しながらしくみを作ります。

3)ソーシャル・ビジネス/ソーシャル・イノベーションに関する企画への取り組み
 一方で、よりよい社会を作り、地域や世界に笑顔を増やすための活動には、営利・非営利という線引きはあまり意味のないものになってきています。社会でソーシャル・ビジネスやソーシャル・イノベーションの分野には、企業も非営利組織も関わっている分野です。このような「社会のあり方を変える活動」では、前例がない、成功するか失敗するかわからない状況で、さまざまなリスクを取ることも必要です。このような分野で頑張っている方や事例について、学び合うネットワークづくりや実際にプログラムに取り組んだり、情報発信します。

4)ロビイングやアドボカシーの大切さに関する取り組み
 非営利組織にとって、法律や政策からこぼれおちて苦しい生活をする人たちが少なくなるように、また、社会の偏見や差別に取り組むために、法制度を変えるロビイングやアドボカシーも重要な取り組みの一つです。長期的な取り組みであり、また「お金にならない」部分でもありますが、民主主義のためには啓発活動も重要な活動です。NPOリスク・マネジメント・オフィスは、非営利組織のロビイング/アドボカシー力の向上にも取り組みます。

NPOリスク・マネジメント・オフィスはNPO運営支援を中核の事業としていますが、「支援」とは、決して他人事として外から(あるいは「上から」)無責任に言いたいことを言うのではなく、「一緒に」活動することを大切に考えています。

 

活動概要・活動例

活動概要

1)講座・研修
 NPOやボランティアの活動を支援する自治体やボランティアセンター、NPO支援組織、社会福祉協議会などのご依頼を受けてリスク・マネジメント講座を実施したり、主催事業としてNPO向けのリスク・マネジメント講座を実施します。「リスクとは何か。そしてNPOにはどのようなリスクがあるか、そしてどのような対処法があるのか」という全般的なテーマから、ボランティアの受け入れや法制度の変更への対応などの特定のテーマまでお話しています。また、座学だけでなくワークショップやグループワークなども組み合わせて実施することもあります。

2)個別支援
 不特定多数のNPO向けの講座ではどうしても一般的な原則のお話になってしまいます。複数のNPOに共通して存在するリスクでも、そのリスクがどれほど優先順位を高くして取り組むべきものなのか、またそのリスクに取り組む手法は、団体によって異なります。そこで「では、うちではどうしたらいいの?」という疑問や悩みに対応するのが個別支援です。それぞれのNPOのご依頼や事情に応じて、リスク・マネジメント導入・整備を一緒に行ないます。

3)調査研究
 NPOのリスク・マネジメントに限らず、マネジメント全般やNPOなどの市民活動やボランティアが果たす社会での役割やNPOをめぐる法制度など、NPOリスク・マネジメント・オフィスの活動領域に関連するテーマのほかにも、社会の多様性や持続可能性など幅広く調査研究事業を行ないます。NPOリスク・マネジメント・オフィスが主催・事務局を担う調査研究事業のほか、ご依頼に応じて調査研究事業をお引き受けすることもあります。

4)翻訳(日本語・英語)
 調査研究の活動とあわせて翻訳を行なうことも多いのですが、海外での非営利セクターやマネジメントなどについて書かれた文献やウェブサイトなどを日本語に翻訳して日本での非営利セクターのレベルアップや海外で同様に「社会をよくしたい」という想いで活動している方々と日本の方々をつないだりしています。
 ずっと残念に思っているのは、日本のすばらしい活動やアイデア、活動している方のことが海外に向かってなかなか発信されていないことです。今までも、海外の方が来日される際や、日本のNPO関係者の方が海外視察などをされる際に、日本のNPOの活動事例などを英訳させていただくこともあります。

 これら4つの活動領域は完全に分かれているものではなく、組み合わせでお引き受けすることもあります。

活動例

今まで、各地でNPOのリスク・マネジメントに関するお仕事を各地でさせていただきました。すべてをリストアップすることはできませんが、その一部をここで紹介します。なお、NPOリスク・マネジメント・オフィスとしてお引き受けしたお仕事から選んでおります。それ以外の名義や、NPOリスク・マネジメント・オフィス設立以前のものは含んでいないことをご了承ください。(更新日:2020年12月1日)

講座・研修など各種リスク・マネジメント支援

  • JANIC(国際協力NGOセンター)主催 「国際NGOの危機管理」研修(2004年11月19日)
  • 東京ボランティア・市民活動センター主催 ききマネ講座第4回「ボランティアのリスク・ここが心配〜 安心して活動してもらうためのボランティア・マネジメント 〜」講座(2006年11月14日)
  • 宮城県主催 「ボランティア受け入れのリスクを学ぼう!」講座(2007年9月26日)
  • さいたま市市民活動サポートセンター主催 2009年度セミナー第15回「市民活動の組織基盤づくり講座③」NPOの信頼とリスク・マネジメント(2009年12月9日)
  • 関西こども文化教会主催子育てNPO活動者研修「“気づき”の効果を“築き”につなげる『連続した子育て支援とリスクマネジメント』」<大阪開催> 基調講演(2009年11月22日) 
  • 富山県民ボランティア総合支援センター主催 NPOマネジメント研修「NPOのためのリスクマネジメント」(2009年9月29日)
  • 北区社会福祉協議会主催 「安全な食の提供とリスク・マネジメント」講座にて「市民活動・地域貢献活動におけるリスク・マネジメント」講座。(2017年12月7日)
  • 認定NPO法人杜の伝言板ゆるる NPO法人せんだい・みやぎNPOセンター 仙台市主催 NPO法人のための組織・事務力パワーアッププログラム 「NPO法人のためのリスクマネジメント」講座(2020年1月16日)

調査研究

  • 『NPO理事による事務局長評価』(翻訳。IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]、2000年)
  • Doing Well, Doing Good: Managing Risk in Corporate Volunteer Program (共著、 Nonprofit Risk Management Center、2000年)
  • 「コンサルテーションで、もっと成功するNPOへ」 (パブリックリソース
  • 研究会編『パブリックリソースハンドブック――市民社会を拓く資源ガイド』、ぎょうせい、2002年所収)
  • 『よくわかるNPO・ボランティア』(共著。ミネルヴァ書房、2005年)
  • 「NPOマネジメント」(IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]刊)において、NPOのリスク・マネジメントに関する連載等(11号~19号 2001年2月~2002年6月、26号 2003年8月、29号 2004年2月、32号~38号 2004年8月~2005年8月、40号~49号 2005年12月~2007年6月、51号~58号 2007年10月~2008年12月)

翻訳(日本語・英語)

  • 『社会参画する大学と市民学習―アセスメントの原理と技法―』(共訳。学文社、2015年)

その他

  • Moderator at the “Unlocking the Power of Youth through Service-Learning” session. The 16th IAVE (International Association for Volunteer Effort) Asia Pacific Regional Volunteer Conference, in Bangkok, Thailand, Nov. 13th, 2019. (タイ・バンコクで開催された第16回IAVEアジア太平洋地域ボランティア会議「サービスラーニングを通じて若者の力を解き放つ」セッションにて進行役。2019年11月13日)
  • Presenter at the “Responsible Volunteering – Do No Harm!” session. The 16th IAVE (International Association for Volunteer Effort) Asia Pacific Regional Volunteer Conference, in Bangkok, Thailand, Nov. 14th, 2019. (タイ・バンコクで開催された第16回IAVEアジア太平洋地域ボランティア会議「責任あるボランティア:誰にも害を及ぼさない」セッションにて発表。2019年11月14日)

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費用について:
 費用は、支援の形態によってさまざまですので、お問い合わせフォームよりご相談ください。遠方の場合、交通費や必要な場合は宿泊費などもあわせてご負担お願いしています。直前のご依頼や緊急時には、若干割り増しになることがあります。

「NPOリスク・マネジメント・オフィス」という名前、とくに「オフィス」の部分には、「自分たちではリスク・マネジメント担当のスタッフを採用することはできないNPOの(外付けの)オフィスになりたい」という想いをこめています。ご関心ある方は、一度お問い合わせフォームからご相談ください。
 なお、会計士や税理士、弁護士といった「士業」の方にお願いすべきことは引き受けられませんが、士業の方と円滑にコミュニケーションが進むように事前の準備をお手伝いしたり、NPOに理解のある弁護士の方をご紹介することはできる限り対応させていただきます。(会計業務については、アドバイスなどは行なっていません。)

代表プロフィール

代表中原美香の人物イラストNPOリスク・マネジメント・オフィス
代表 中原 美香 

東京の下町に生まれ育つ。日本でNPO法制度や多文化教育、フィランソロピーなどへの関心が高まっていた1990年代、アメリカの大学院への留学(修士課程修了。国際政治専攻)がきっかけとなり、カリフォルニア州サンフランシスコ近郊のNPOでインターンとしてNPOや多文化教育、マイノリティ権利擁護などのトピックに関して取材・調査・情報発信、視察ツアーのコーディネート・同行通訳などの業務に関わる。帰国後、この団体の日本事務所でスタッフ(ワンオペ)、国際人権団体での勤務を経て、2000年12月にNPOリスク・マネジメント・オフィスを設立。また、大学でのCSR(企業の社会的責任)インターンシップ・プログラムのコーディネータ―やボランティアコーディネーターとして、企業のCSRへの取り組みや学生の地域活動や国際協力、震災復興支援ボランティアなどの様々なプログラムにも取り組んだ。

活動のなかで、自己流ながら英日・日英の翻訳・通訳も経験。NPOや人権、まちづくり、サステナビリティなどに関する海外での動きを日本のNPO関係者に伝えたり、日本のNPOや行政関係者等の海外視察や海外からの来日したゲストの日本での講演の通訳・アテンド、視察先との日程調整、調査、資料翻訳などにも携わる。(現在、公式な業務としての通訳は行なっておりません。)

市民の「よりよい社会を作りたい」目的の実現の確率を少しでも高めるために、非営利セクターの包括的なリスク・マネジメントの必要性を発信し個別支援を行なうほか、多様な人々が住みやすい社会を実現するための活動、サステナビリティや人権保護のための認知バイアスへの取り組みなどを続けている。

現在、株式会社ソノリテ パートナーコンサルタント、東京ボランティア・市民活動センター 『ネットワーク』編集委員も務めている。

活動のキーワード:

NPO、NGO、ボランティア、非営利セクター、リスク・マネジメント、マネジメント、CSR、人権、防災・減災、サステナビリティ、シェアード(共有)マネジメント、ネットワーク、パートナーシップ、社会貢献、社会的責任、SDGs、ソーシャル・イノベーション、社会的企業、社会の多様性、ダイバーシティ、マイノリティ、ジェンダー 、認知心理学など

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