新年度の準備とともに備蓄の確認を

canned food

東京では桜が満開になってきたところが多いと思います。東京都も3月21日で緊急事態宣言が解除になりましたが、桜は宴会をしなくても楽しめますので、ゆっくりと歩きながら春の訪れを感じていきたいと思います。

NPOリスク・マネジメント・オフィスでは、緊急事態宣言解除後も当面は引き続き在宅・オンラインでの業務が中心となります。個別支援等で、必要な場合は必ずしもその限りではありませんので、新年度をむかえてリスクの見直し・洗い出しをしたいというNPOの方などは、お問い合わせフォームなどから、ぜひお問い合わせ・ご相談ください。

いまが災害時のための備蓄を見直すチャンス

3月は年度末ということで、異動・転職・退職などの時期でもあります。終了して一定期間経った事業の資料や文書などを片付けるなど、新年度に向けてさまざまな準備をされていると思います。人員構成が変わる、棚や倉庫を整理するなどのこのタイミングで、非常持ち出し袋や備蓄を確認・補充・入れ替えてみてください。人数に見合った分のヘルメットや水、食料があるかどうか。消費・利用期限が切れている・あるいはもうすぐ切れる食品などはないか。「もうすぐ」の考え方は人それぞれですが、備蓄をリスト化して常に消費・利用期限を管理していないと、備蓄のチェックが年に1回という方もいらっしゃるかもしれません。その場合は、向こう1年のうちに消費・利用期限が切れるものは入れ替えの時期です。

「ローリングストック」は和製英語

最近「ローリングストック」という言葉がよく使われます。「循環備蓄」とも呼ばれ、災害時などの「いざ」というときの備えにとしての保存食にもなるものを普段から家や職場にストック(買い置き)しておき、普段の生活でも賞味・消費期限が近いものから食べ、食べたら補充するという考え方・手法です。

この「ローリングストック」は、ふつう英語では「鉄道車両」を表すそうで、食べ物の備蓄の方法としての意味はないようです。和製英語ですね。したがって、ローリングストックを英語で表現するときにそのまま使っても外国人には通じません。「循環備蓄」という日本語から考えても、「stock rotation」の方が、意味が通じそうです。ローテーションという言葉は、スポーツや業務シフトでも「どういうローテーションを組むか」などという感じで、日本でも使われますね。

オフィスも自宅も備えを

私も昨日、自宅のローリングストックと備蓄食料への追加のために、長期保存できるレトルトカレーや、缶詰のパン、羊羹などを買いました。また、非常持ち出し袋の入れ替え用に、化粧水と乳液、水が要らないボディシャンプーなども買ったところです。私は視力を矯正するものが必要なので、使い捨てのコンタクトレンズを1か月分は非常持ち出し袋に入れているのですが、メガネも入れておかないといけないなぁと思っています。水を濾過するフィルターもどうしようかと悩んでいるところです。

個人の備え方と、組織としてのオフィスでの備え方は、備蓄量などが異なります。また、新型コロナウイルスをはじめとした感染症のクラスターが発生しないための工夫もこれから必要となってきます。備蓄に限らず、家具等の転倒やガラスの飛散防止などを含め、自分が拠点する場所をぐるっと見回して、改善点がないか確認してください。

たとえば、「東京都防災ホームページ」などを参考にしてもいいと思います。

とくにコロナ禍で在宅勤務スタッフが増えるなか、スタッフやボランティアなどが自宅にいるときに災害が発生する確率も増えます。各人、在宅での備えをすすめるよう周知するだけでなく、可能であれば基本セットが入った非常持ち出し袋やヘルメットなどを各人の自宅に支給することを検討してもいいと思います。それが無理な場合、せめて何を備えておくべきかというリストを配布するなども一案です。

さらにNPOのみなさんは、自分たちの活動にどういう人たちが参加しているかも、ぜひ考えてみてください。通常の防災にくわえ、たとえば子ども向けの活動をしていれば、災害が発生したときにもし利用者・参加者のみなさんと一時的にでも一緒に避難しなければならないとしたら、何があるとよいでしょう?子どもたちが感じる恐怖や緊張などをやわらげるためのおもちゃや電気不要のゲーム、お年寄りが多ければ一口サイズでのどに詰まらせず食べられる保存がきくお菓子やぬりえなど、1人でできるものや数人でできるものを考えておいたり準備しておいたりすることも役立つと思います。普段の活動の延長でかまいませんので、「いざというときにはこういうアクティビティができる」ということをスタッフやボランティアのみなさんで共有しておくとよいでしょう。ぜひ避難訓練の日程を組むと同時に、このような話をできる時間も設定してみてください。

ふだんの備え、ふだんの想定が、非常時を支えます。ぜひ、いろいろなことが変わるこの時期に、検討してみてください。

(中原)