12月は市民活動への想いを形にしやすい月

12月1日は特定非営利活動促進法(NPO法)が施行された日ですが、NPOリスク・マネジメント・オフィスの誕生日でもあります。21歳になりました。

昨年は、20年を機に、新URLでウェブサイトをリニューアル・オープンしました。ブログも新たな場所でスタートしました。ブログの記事はこの1年で50本と、だいたい週に1本のペースで投稿しています。これからも、リスク・マネジメントに限らず、NPOの事例や私の活動に関する思いなども、つれづれに記していきたいと思います。ふとお時間できたらのぞいてみていただければ幸いです。別のブログサービスを使っていた時に投稿した昔の記事で、アクセス数が多かったものを再掲したいとも思っています。

この1年で達成できなかったことが、英語での発信でした。日本の市民活動や、その活動の根底に流れる人々の想いなどについて海外の人たちにもっと知ってもらい、日本での活動を海外の方々にも参考にしてもらいたいと思っています。Twitter(@nporisk)との連携も強化させたいと思います。

寄付の時期

人々の想い、といえば、市民活動には重要な意味を持つ記念日や週間、月間が目白押しです。今日(12月3日)は国際障害者デーです。12月は寄付月間そして12月5日は「国際ボランティア・デー」です。また、12月4日から10日は人権週間ですし、12月1日は「世界エイズデー」でした。

アメリカでは、「サンクスギビング・デー(Thanksgiving Day=感謝祭、アメリカやカナダなどで11月第4木曜日に収穫を祝う祝日)」の翌週火曜日を「ギビング・チューズデー(Giving Tuesday)」(寄付の日)にしようと、2012年から呼びかけられています。この日には「#GivingTuesday」などのハッシュタグをSNSでもよく見かけます。Giving Tuesdayの活動は、いまではビル&メリンダ・ゲイツ財団やフォード、SNSやオンライン決済会社も含む、さまざまなサポーターやパートナーも関わっています。世界各国でも連携した活動があり、GivingTuesdayのサイトの世界地図では、関連した活動がある国や地域にハートマークがついていて、それぞれの活動のサイトへのリンクが貼られています。日本には、ハートマークはついていませんでした。

とはいえ、日本では、昨年に続き、今年も11月下旬にNHKの「あさイチ」でも寄付月間が取り上げられるなど、12月の「寄付月間(Giving Tuesday)」の活動が定着しつつあります。寄付月間のサイトによると、昨年、パートナーが国内全都道府県に広がったそうです。

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国際ボランティア・デー制定から20年

国際ボランティア・デーは、1985年12月の国連総会で採択されました。「経済・社会開発のための国際ボランティア・デー」が正式名称です。また、2001年は国際ボランティア年(International Year of Volunteers, IVY)でした。今年は、この国際ボランティア年からちょうど20年にあたります。国際ボランティア年の制定は日本政府の提案によるものです。その背景には、1993年に国連ボランティアとしてカンボジアで国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)が実施した選挙監視員として活動中に「殉職された中田厚仁さんのお父様が提唱されたことがありました。

また、今年は国連ボランティア計画50周年にもあたります。11月には、日本政府とブラジル政府の主導により、国連総会第三委員会に「国連ボランティア計画50周年とボランティア国際年20周年」決議案を提出し、採択されました。国連総会の第三委員会は、社会開発・発展や人権などの問題を扱う委員会です。コロナ禍やSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みなどにおけるボランティアの果たす役割を認識し、国際社会としてボランティアを支援していくことなどを呼びかけたものです。概要は、外務省の発表をご覧ください。同決議案は、アメリカ東海岸時間で12月2日(日本だと12月3日になるので、今日ですね)から会期が始まる国連総会期間中の本会議にて票決予定とのことです。

SNSなどで利用できるイラストや写真などを提供しているCanvaでは、国際ボランティア・デーに向けて、さまざまな素材を提供しています。無料のものもありますので、SNS等で利用してみるのもいいかもしれません。ちなみに、この記事のトップのアイキャッチ画像も、Canvaからダウンロードしてきました。

国連ボランティア計画の今年の国際ボランティア・デーのテーマは「私たちの共通の未来のために、いま、ボランティアを(volunteer now for our common future)」です。次の世代のために、いま、ボランティアしようという呼びかけです。みなさんは、ボランティア活動で、次世代の人たちに何を残したい・伝えたいですか?また、そのような将来を見据えていま動くことは、いまを生きるわたしたちに何をもたらすと思いながらボランティア活動や市民活動に関わっていらっしゃいますか?今日のタスク、来週の予定、来年の計画などを話すだけでなく、夢や想いを仲間と話し合って共有することも、お互いを理解し尊重し合いながら活動していくのにとても大切なことだと思います。

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ボランティアや寄付でひろがる「社会的なリスク・マネジメント」

寄付やボランティアの文化を醸成しようという組織や個人を応援することは、必ずしも「相手」にとってだけでなく、私たちにとっても大切です。という意味だけではありません。それは、自分が困ったときにも支えてもらえる社会を作ることにもつながります。社会的なリスク・マネジメントとも言えます。

私たちは、みんながいつも頑張っている状態でいられるわけではありません。頑張ってもみんなが報われるわけでもありません。いろいろある世の中だからこそ、何でもその人の自己責任だと思考を停止させ、相手を突き放さない社会は、結局自分も生きやすいのではないかと、最近とくに自分の経験からも感じています。

「この社会はまんざらでもない」と多くの人が思って参加できる活動に「いいね」の気持ちを表明するために寄付やボランティア活動、その活動に関する情報拡散や支援活動をすることが、人々はお互いの違いを受け入れながら寛容な社会を作っていくことにつながるのではないか。そんなことを考える、師走の始めでした。

(中原)

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