最新の「首都直下地震等による東京の被害想定」

25日、東京都が「首都直下地震等による東京の被害想定」を発表しました。これは、首都直下型地震や南海トラフ地震などによる東京都への被害想定を10年ぶりに見直されることになったことを受けてのことです。

首都直下地震等による東京都の被害想定(リンクをクリックすると、東京都のサイトに飛びます。「概要資料」のところにある「東京都の新たな被害想定について 首都直下地震等による東京の被害想定」をご覧ください)

最も被害が大きくなると想定されるのは都市南部直下地震で、震度6強以上の範囲は区部の約6割に及び、建物への揺れや火災による被害は194,431棟、死者は6,148人、負傷者は93,435人、避難者は約299万人、帰宅困難者は453万人と見積もられています(冬の夕方、秒速8mの風速の場合)。いずれの数字も、前回の東京湾北部地震の想定被害規模より小さい数字になっています。ただ、災害関連死などは含まれていないようです。海溝型の地震の場合の津波高は、区部では最大約2~2.6メートル程度、島嶼部では、最大式根島の28メートルとのことです。

たしかに、東京では、建物や駅など、さまざまな建物やインフラで耐震・耐火対策は進んでいると感じます。一方、東京でも再開発が進んでいる地域では、新しく商業施設やマンションなどが建設されていて、人の流れも変化しています。その土地に新しくやってきた人も昔からいる人も、その土地での災害リスクも変化していることに気づかず、備えが不十分になってしまっているのではないかと、自分自身に置き換えて考えても、心配です。

さらに、発災直後から時間を追って5つの「身の回りで起こり得る災害シナリオと被害の様相」の想定も紹介されています。インフラやライフラインの復旧や、自分がどこで被災し避難生活を送るかなど、被災した社会全体と自分や自分の家族など大切な人のおかれる状況が描かれています。ここで想定されているのは冬です。もし、季節が夏であれば、暑さに関連したシナリオを考えなければいけません。

いずれにしても、このシナリオを絶対的なものと考えず、私たちが自分のいる場所や環境、時期など諸条件を動かしながら想像力を働かせる「タネ」として読んでみてはいかがでしょうか。東京都だけでなく、みなさんの活動地域の自治体などが発表しているハザードマップなどを確認してください。

NPOとして防災以上に考えること

NPOの場合でしたら、たとえば事務所や活動場所で、どういう人たちが集まっているかを想定してみることが大切です。災害の種類や対応することになるであろう人たちの属性や人数に応じた非常食や防災グッズ、簡易トイレなどを用意する必要があります。また、自分たちの拠点が長期にわたって機能不全になるとき、どこか別の場所を拠点にしたり、どの活動は継続が必要で、継続(あるいは早期再開)のために誰に協力してもらったりしたよいかなども、あわせて考えておく必要があります。このような考え方をBCP(事業継続計画)と言います。コロナ禍でもそうですが、大変なときだからこそ、みなさんの活動や存在が必要という活動をされているNPOが多いので、自分たちの存続だけでなく、社会的な意味を考えたうえでのBCPが求められています。

指定管理者として管理している地域の公共の施設の場合は、災害時に地域の住民の方を受け入れるかどうかなど、自治体等との決まりがあると思いますので、災害が発生したときに誰が施設内で勤務していても対応できるよう、マニュアルや取り決めないようの確認やシ想定訓練、そして現場を知る立場として必要に応じて自治体へ提案することも検討していただきたいと思います。

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防災や災害に関するいくつかのリンク

このブログでも、ときおり防災について書いたりしていますが(たとえば「新年度の準備とともに備蓄の確認を」、2021年3月26日 https://sovap.net/?p=697)、最後に「いざ」というときに備えるために参考になりそうな公的機関のウェブサイトを、いくつかご紹介します。リンク先の情報については、みなさんのご判断での活用をお願いします。

※上記サイトへのリンクは、2022年5月27日時点では有効であることを確認済みです。

全国的にNPOの活動も少しずつリアルに集まるイベントなども復活してきました。一方で、継続して在宅勤務が中心という方もいます。活動が復活してきたのと同時に、常に仲間たちと一緒にいるわけではない状況で、災害に限らず、緊急事態にどう対応するか、担当者を人で決めていると対応できないことも出てきます。避難訓練をはじめ、災害時・非常時の対応についての図上訓練など、イメージを膨らませて対策を検討し、その場にいる人たちでどう乗り切るか考えていただきたいのですが、この話はまた別の機会にしたいと思います。

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(中原)