「東北いろは」おちゃっこ会実施ご報告

おちゃっこウェルカムボード

先日こちらでもご案内していた「東北いろはにほへと・プロジェクト」の第3回おちゃっこ会が、8月21日(土)に無事開催されました。「東北いろはにほへと・プロジェクト」(通称「東北いろは」)とは、東日本大震災を風化させずに防災・減災に取り組んでいる方や、震災で一気に加速した少子化・高齢化・過疎化・地元産業の衰退などの様々な問題に直面するなかで、まちづくりや人の「くらし」に関する活動をしている方とオンラインでお話しながら、まちと人の魅力を感じてコロナ禍が落ち着いたら現地に行ってゲストに会ったり、まちの「いま」を感じましょう!というプロジェクトです。NPOリスク・マネジメント・オフィスは、このプロジェクトの実行委員として関わっています。

「つながり」を楽しむ長洞元気村の「好齢(こうれい)ビジネス」

今回、岩手県陸前高田市の一般社団法人長洞元気村事務局長 村上誠二さんをゲストにおむかえしました。東日本大震災の際には長洞(ながほら)地区内60戸のうち28戸が津波の被害を受けてしまいました。家を失った方々は地区内の被害を免れた家に分散避難し、自治会で住民から提供してもらった食べ物を分配しながら震災直後をしのぎました。その後、28戸のみなさんがあちこちの仮設住宅に分散するのではなく、長洞地区内に仮設住宅を建てそこに共同移転できるよう村上さんたちが市と交渉し、実現しました。その後、震災復興ボランティアや視察、取材で日本全国だけでなく海外からも多くの人たちが訪れるようになり、受け入れなどを事業化しました。村上さんたちは、これを地域の高齢者による「好齢(こうれい)ビジネス」と名づけました。好齢ビジネスを通して、事業の担い手(主に「なでしこ」と呼ばれる地区の女性たち)のみなさんは、やりがいと少しばかりの事業収入を得ています。防災教育や昼食交流会、民泊などの幅広い活動内容は、ぜひ長洞元気村のウェブサイトをご覧ください。

私(中原)も、以前の仕事で、大学生や小学生たちと何度もうかがっており、なでしこさんたちと昼食を一緒に作って食べて交流させていただいたり、村上誠二さんからも長洞での経験を元にした防災ゲームをしていただいたり、大変お世話になりました。

おちゃっこ当日の様子は、このイベントの事務局をつとめる、一般社団法人DSIAのウェブサイトをご覧ください。当時大学生そして小学生として一緒に長洞元気村にうかがった、現在は社会人そして高校生も今回のおちゃっこに参加してくれたので、私も嬉しく思いましたし、村上さんにも喜んでいただけました。

長洞地区の住民のつながりを強くしたもの

村上さんによると、震災以前、地区のみなさんのつながりには、明治時代や昭和にも経験した大津波と、4年に一度の「祭り」が影響していたのではないか、とのことです。災害の際の助け合いや、祭りで一人一人が役割を持ち、祭りをやりとげるという「非日常」と、正月やお盆などの年中行事や、自治会の「日常」の活動や交流の中での役割を果たしたり、会話のなかからお互いの状況を知ったりしていたといいます。だからこそ、震災直後の地区住民のみなさんどうしの助け合い(共助)や、震災後の復興、そして新たな地域ビジネスの創業と高齢者の生きがい・やりがいを呼ぶビジネスモデルの確立につながった、とても素敵な事例だと思います。

また長洞にうかがって、村上さんやなでしこさんたちとお会いしてリアルにおちゃっこができる日がはやく来ることを待ち望んでいます。

来月のゲストは、福島県いわき市の吉田美恵子さん

次回のおちゃっこは、9月21日(火)19時~20時半に開催です。ゲストは、福島県いわき市で活動されている吉田美恵子さん(NPO法人ザ・ピープル理事長/一般社団法人ふくしまオーガニックコットンプロジェクト代表)です。

津波、地震、そして原子力災害という複合災害からの復興は様々な分断の克服でした。10年間続いたオーガニックコットン栽培は、有機の里づくり、製品作りの起業、双葉八町村の住民団体との連携、SDGsスタディツアーの受け入れ、途上国支援など、新たな段階を迎えています。

2021年4月に設立した(一社)ふくしまオーガニックコットンプロジェクトは、「有機農法による綿花栽培とその収穫物によるものづくりを中心に、その取り組みに関連して生まれるさまざまな活動や人々の交流を通して、真に豊かな暮らし、地域、未来を紡ぎ出して次世代につなぐための事業を目指」すことを掲げました。国内自給率は限りなく0%の“衣”ですが、“衣”を取り巻くSDGsライフの新しい地域づくりモデルについても語りあいたいと思います。

オンラインおちゃっこはZOOMで開催します。PassMarketからお申込みいただけます。毎回、少人数(15人程度までを想定)で、なごやかな雰囲気のなかにも災害からの復興や防災、まちづくりなど、本音ベースで話し合っています。お仕事の帰り道、夕食調理中など、ずっと画面を見ていられないという方も、耳だけの参加も大歓迎ですので、ご参加お待ちしています。

(再)夏季休暇のお知らせ

最後になりますが、以前もご案内した通り、8月30日(月)~9月2日(木)は(2回目の)夏季休暇期間とさせていただきます。緊急のご依頼などはお問い合わせ/ご依頼ページからご連絡ください。ただ。今回は2回目のコロナワクチン接種の副反応が出ているかもしれませんので、対応できない場合があるかもしれません。そのほかいただいたご連絡には、9月3日以降、順次お返事させていただきます。ご迷惑をおかけしますが、何とぞご了承のほどよろしくお願いいたします。

(中原)