尼崎のUSB紛失と、鎌倉の紫陽花

鎌倉・明月院の紫陽花

所要で鎌倉に行き、1泊してきました。
コロナ禍になってから東京都を出ること自体ほとんどなかったのですが、東京から日帰りでも行ける鎌倉に、所要で久しぶりの訪問となりました。

尼崎市のUSBメモリ紛失

鎌倉で自然や歴史を感じつつも湿気の高さに体力を奪われていた間に、兵庫県尼崎市で全市民の個人情報が入ったUSBメモリを委託業者の関係会社社員が泥酔して紛失したというニュースが話題になっていました。(そのため、上記のようなタイトルになっただけですので、尼崎の件と鎌倉の紫陽花は関係ありません。)

そもそもUSBメモリでの持ち出しはやむを得ない場合に市の許可を得ることや、作業終了後速やかにデータを消去するなどの決まりがあったのですが、それらが行なわれておらず、委託業者から当該社員への明確な指示はなかったという報道もあります(神戸新聞NEXTのサイト)。尼崎市の人口は今年3月末の時点で45万9千人強(尼崎市のウェブサイト)。この約46万人全員の住民基本台帳情報のほか、納税情報などを紛失したとのことです。

さらに、この件について尼崎市が記者会見を開いた際に「英数字13桁のパスワードを設定している」から「解読は難しい」と発言していたようです(ITメディアのネット記事)。そのほか、メルカリで「尼崎のUSBメモリ」が出品(その後削除)されたとの報道もあり、事態は混乱したり、拡大したりしています。

業務を受託しているBIPROGY社のお詫び文
(リンクをクリックするとPDF文書が開きます)

幸いにも、いまのところ被害は出ていないようです。まだ発覚したばかりですので、経緯を見守りたいところです。せめて、パスワードが解読されてデータにアクセスされたりコピーされたりすることなく、紛失したUSBメモリが戻ってくるとよいのですが。また、記者会見で市の職員がパスワードを特定しやすくなる発言をしたことで、他のデータなどのパスワードにも同じ規則性が適用されているのではないかとサーバなどに不正アクセス等を試みようとされて侵入が成功してしまうことがないよう、尼崎市では今回紛失のあった件だけではなく、全体的なセキュリティチェック・強化をしていただきたいと思います。

NPO関係者の皆さんも、今回の尼崎市の件を他人事と考えないでいただきたいと思います。コロナ感染拡大状況も落ち着いてきて、最近はオンラインではなくリアルに人と会っての活動や、プライベートでも久しぶりにお酒を飲みながら会う機会も増えてきた方も多いのではないでしょうか。出歩く機会が増えて、NPOとして保存・管理している個人情報に限らず、個人のスマートフォンやタブレットや貴重品なども含め、公共交通機関や立ち寄った店舗での置き忘れ、車を運転して移動中にちょっとお店に立ち寄るときに車の中に置いていっての車上荒らし被害、自転車のかごに入れたかばんの持ち去りなど、ご自身の行動や移動経路のなかでの盗難や紛失のリスクにあらためてお気をつけください。

追記:この記事を投稿後、紛失していたUSBメモリが見つかったという報道がありました。誰もカバンを移動させたり中を見たりしていないのかなど、気になることはあります。)

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鎌倉・明月院で紫陽花や風景を愉しむ

鎌倉は今年のNHK大河ドラマの舞台でもあり、長谷寺は2021年が造立1300年でご本尊である十一面観世音菩薩像の特別参拝中、そして今は紫陽花の季節です。観光地としても鎌倉は人気がありますが、それに加え、コロナ禍で外出やイベントを2年強我慢してきたからと、久しぶりに観光地に出かける人も多いのではないでしょうか。

JR北鎌倉駅は高架にはなっていない駅で、線路の両側に複数の寺院が並んでいます。駅のすぐそばには鎌倉五山第二位の円覚寺、もう少しいくと第一位の建長寺があります。この2つのお寺の間に、明月院があります。明月院は「紫陽花寺」と言われるほど、境内には紫陽花が咲きほこります。入口から緩やかにのぼっていくと、なかには自然の洞や井戸、明月院の朝顔は青みがかったものが主流で「明月ブルー」と呼ばれています。私が訪問したときは、幸いそれほど混んでいませんでした。にぎわっているのですが、紫陽花がせり出している細い道を行こうとしたら誰かが撮影していて少し足を止めて待っていると人の流れ少し滞留するという程度でした。

鎌倉・明月院「悟りの窓」
明月院本堂の「悟りの窓」

明月院の本堂にある丸窓は「悟りの窓」と言うそうなのですが、「何かを悟る」よりは、参拝客は並んで写真を撮影することに一生懸命になっているスポットでした(笑)

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「いま」の美しさと楽しさを「未来」にも

写真や動画を撮影したり、それをSNSなどに投稿したりというのは、いまやどこででも「あたりまえ」の光景になりました。私も撮影して思い出として見返したり、SNSで他の人に自分の過ごした時間の一コマを共有して会話のきっかけになれば嬉しく思います。ただ、マナーを守らなかったり、撮影のためにその場が荒らされてしまったりすることがないようにしたいものです。

紫陽花は触れると枯れてしまうそうで「触らないでください」という注意を何度か見かけました。細い道では、どうしても人とすれ違うために少し身体をずらすと紫陽花の花や葉に衣服やカバンが触れてしまうこともありますが、撮影のために花に触ったりはしないようにしたいものです。JR横須賀線の線路の反対側にある東慶寺(「女性の駆け込み寺」だったことでも知られています)では、最近、一般参拝者は境内撮影禁止となりました。このお知らせでは、進入禁止の場所に入ったり、お寺であることを忘れてお参りもしない、撮影だけして「目の前のことに対して、『心』で感じることを忘れてしまった」ことが「なにより残念」と綴られています。その場の空気やにおい、空や大地や建物、歴史など、その場で画像にはおさめきれないものやことを感じることを一番大切にしたいと、あらためて思いました。

遠い未来の見知らぬ人のことは知らない、そのときの世の中がどうなっているかなんて想像もできないし自分には関係も責任もないと思うかもしれません。たとえば、来年も再来年も自分が行きたいと思ったときに散策や撮影を楽しめるようにしたいと考えてみるのはいかがでしょう。方針変更がない限り、東慶寺の境内の自然は見ることはできますが、先日まで可能だった撮影はできません。進入禁止のところに入る人が後を絶たなければ、近い将来、立ち入れる場所もさらに減ってしまうかもしれません。

サステナビリティ(持続可能性)は、こういうところからも考えていけるのではないかと、思います。

最後に、余談ですが、若いころに円覚寺の奥まで行き、建長寺も天狗の像が並ぶ半僧坊まで上り、そのあと鶴岡八幡宮まで歩いたことがあるのですが、今となってはどうしてそんなことができたのか、不思議でなりません(笑) それから、鶴岡八幡宮の太鼓橋は現在通行禁止となっていますが、昔、急勾配に立ち止まりながらも渡った記憶があります。記憶違いでしょうか。朝6時くらいに家を出て日帰りだったはずなのですが、今となっては信じられません(笑)

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(中原)