コンタクトレンズ空ケースのリサイクル

プラスチック製品でも紙製品でも、環境への負荷を考えると、使わないですむものは使わない方がいいですし、リサイクルできるものはリサイクルできるよう、資源が回収できるといいと思います。一方で、コロナ禍で個包装が増えるなど、公衆衛生などの観点から消費が増えてしまうものがあります。

プラスチック製品をリサイクルのために回収している自治体や企業などもあります。また、カフェなどでは、プラスチック製のストローの代わりに紙やパスタのストローが出てくることも増えましたし、一部コンビニエンスストアでもプラスチック製のスプーンなどの提供を休止する実験が始まるなど、ここ数年で変化が見られます。

コンタクトレンズの空ケースの回収・リサイクル

私は、1日の使い捨てレンズをアイシティで購入しています。レンズ自体もそうですし、レンズのケースのごみが毎日出るのが気になっています。アイシティでは、以前からコンタクトレンズが入っていたプラスチックの空ケースを持って行くと、リサイクルしてくれます。以前利用していたブログサービスでも、一度ご紹介したことがありました。コンタクトレンズケースを回収する「アイシティecoエコプロジェクト」を実施しています。メーカーは不問とのことです。なお、空ケースを回収してもらうには、アルミケースをきれいにはがした状態にし、レンズが残っていないことを確認する必要があります。

2013年からは、アイシティ店舗だけでなく、企業や学校、自治体等とも連携して回収しているそうなので、店舗にはなかなか行けなくても、身近な場所に回収場所があるかもしれません。狛江市が、その一例です。

持って行った空ケースは、リサイクル業者が買い取り、粉砕され、再生ポリプロピレンへと生まれ変わり、別の商品へと使われます。また、リサイクル業者が買い取ることで得た収益は、公益財団法人日本アイバンク協会に全額寄付され、角膜移植やアイバンクの啓発等に使われるとのことです。また、アルミシールをはがす作業を通じて、障がい者の自立・就労支援も行なっています。

他にも、SEEDなど、空ケースを回収・リサイクルしているメーカーもあります。コンタクトレンズのメーカーとしては、たとえばSEEDが「Blue SEED Project~海に愛(Eye)を~」として、回収・リサイクルを実施しています。

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プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律

昨年6月に成立した「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が、4月1日に施行されます。リデュース(Reduce、減らす)、リユース(Reuse、繰り返し利用する)、そしてリサイクル(Recycle、資源として再利用する)の「3R」にリニューアブル(Renewable、再生)をくわえた「3R+Renewable」を基本原則としています。プラスチックから製品が作られる「設計・製造」から、「販売・提供」、「排出・回収・リサイクル」されるまでの、いわゆるプラスチックの「ライフサイクル」の各段階で環境の負荷を減らすための様々な取り組みが事業者や消費者に求められています。

一般社団法人プラスチック循環利用協会が発行した『プラスチックリサイクルの基礎知識2021』(PDF文書)によると、産業廃棄物の排出量は横ばい状態、一般廃棄物の排出量は平成元年(1989年)度から比べると減ってきていますが、ここ数年は底打ち傾向にあるとのことです。OECD加盟世界主要国のなかでは1人あたりのごみ排出量は一番少なくなってはいます。

まだまだ環境のためにできることはある

さきほど紹介したアイシティでは、空ケースを店舗に持って行くと、プラスチック再生グッズや福祉作業所で作成したグッズなどを1つもらえます。先日、空ケースを店舗に持って行き、ティッシュ&マスクケースをいただきました。薄手の、9センチx12センチくらいの大きさのもので、あまり強く押されると壊れてしまうかもしれないですし、開け閉めしていると蓋が閉まらなくなりそうですが、デスクの上の付箋やクリップ類をまとめて置くのにも使えそうです。

アイシティによると、2022年2月現在、累計で452トン以上の空ケースを回収し、1252トン以上のCO2を削減、1千万円を超える寄付をアイバンク協会に送っているとのことですが、1%しか回収できていないそうです。コンタクトレンズをお使いの方は、空ケースを捨てずにリサイクルしてみてはいかがでしょうか?毎日開けるケースですが、べたつくものではないので乾燥したらそれを空き箱などに入れておいて、適宜持って行くだけですので、大した手間ではありません。

ゴミをゼロにしようとか、絶対にペットボトル飲料は飲まないことにするというと、なかなか実行できる人はいません。しかし、何か1つでも、自分ができることをしてみることから始めてみませんか?「1人くらいが何かしても大して変わらない」と思う方もいるかもしれませんが、私はそうは思いません。普段ゴミ出しをする量がすでに少ないという人はいいかもしれませんが、自分が生活していて出るゴミの量が半分になったり、ゴミとして捨てていたものがリサイクルされるところを想像してみてください。少しだとしても、積み重なれば十分に意味がある行動です。無理をすると続かないことが多いので、完璧をめざさず、まずは1つできそうなことから始めてみてはいかがでしょう。

NPOとしても、たとえばイベントのときはグッズ販売のとき、プラスチック製品の代替物を導入したり、会場でのリサイクルに参加者と一緒に挑戦したり、クッキーなどの販売の時のパッケージを見直すなど、自分たちでできることをトライしてみてください。そして、いちどプラスチック製品の利用状況や資源リサイクル実績など、数値で表せるものは数値で見えるようにしてみることも、自分たちの活動での環境負荷軽減の取り組みが見えるものになります。このことで、環境負荷軽減のためのNPOとして社会的責任をいかに果たしているかに関する情報を共有でき、環境保全への意識の高まりを期待したいと思います。

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(中原)