過去を忘れないのは未来のため

日15日のトンガでのフンガトンガ・フンガハーパイ海底火山の噴火であがる噴煙が、何か怪獣のような恐ろしい生き物に見えました。トンガだけでなく、近隣のフィジーに津波の被害はないのか、さらにツバルやキリバスなどの、地球温暖化による海面上昇で「沈む」と言われている国の島々は大丈夫なのか、そして日本には津波は来ないのか・・・と、状況が分からないまま夜を過ごしていました。状況や被害はまだ全容がつかめていません。

ペルーで被害が出たことからも、威力の大きな噴火だったことが分かります。日本では、日本の太平洋岸を中心とした沿岸地域でも20センチ程度の潮位の変化の予想から、いきなりの日本での津波注意報・警報でした。被害が小さくすみ、被災した方々に必要な支援がはやく届くことを願っています。

情報に踊らされない

今回の噴火による噴煙が成層圏に届き、太陽の光がさえぎられるため、冷夏となり食物の不作が起こるかもしれないと言う人や、それほど影響はないのでは、と見る人もいます(たとえば、AERA dot.のこちらの記事など)。

私たちは、たとえばこれを聞いて米の買い占めや、米の生産や流通をなど米に関する回者の株を買ったりするのではなく、普段の自分たちの非常食などの備蓄を見直して冷静に対応することが大切です。パニックを煽ったり、情報に躍らされたりしないことです。つい一昨年の、コロナ禍が始まったときのトイレットペーパーがなくなるかもしれないと人々がスーパーやドラッグストアなどでトイレットペーパーやティッシュなどを短期間に買い求め店頭から商品が消えてしまったり、マスクや消毒関連商品が手に入らないと店員に暴力的な態度を取ったりということがありました。東日本大震災のときも私たちは、たとえばこれを聞いて米の買い占めや、米の生産や流通をなど米に関する回者の株を買ったりするのではなく、普段の自分たちの非常食などの備蓄を見直して冷静に対応することが大切です。パニックを煽ったり、情報に躍らされたりしないことです。、コロナ禍が始まったときに「手に入りにくくなるかもしれない」と人々がスーパーやドラッグストアなどでトイレットペーパーやティッシュなどを短期間に買い求め店頭から商品が消えてしまったり、マスクや消毒関連商品が手に入らないと店員に暴力的な態度を取ったりということがありました。つい一昨年のことです。東日本大震災のときも、被災地ではない場所でもオムツや生理用品、乾電池などが手に入らなくなりました。

非常時に生まれる「群集心理」というモンスター

非常時には、程度の差こそあれ多くの人が不安を感じます。その不安を誰かが表明して、他の人たちもその不安に共鳴してしまい集団としてパニックになって冷静な行動ができなくなる群集心理が働くことがあります。パニックが共鳴・増幅してしまう状態です。集団でパニックになると、かえって被害が大きくなってしまったり、社会の分断を生んだりしてしまいます。(建物内の火事などで人々が逃げまどって出入り口に殺到してしまい将棋倒しになってしまう例などもあります。)人の不安が集まって、まるで一つの怪獣(モンスター)を人々の心が作り出してしまい、自分たちをさらなる恐怖へ突き落す、そんなイメージです。いざという時には、普段は冷静な人でも合理的な判断ができなくなることがあるのです。

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避難しなかった理由は、風化だけ?

一方で、今回、東日本大震災で津波の大きな被害をうけた地域でも、避難しなかった方たちも多いそうです。これを「風化」の一言で片づけてしまってよいのかは、疑問に感じています。16日に日付が変わってすぐでした。すでに寝ていた方も多いと思います。起きてテレビやラジオ、防災無線などを聞きながら準備を進めていた方や「うちはかさ上げした土地だから」とか、海に近い場所や海抜の低い方に向かっていかないと避難できないからと避難をためらったりした方もいらっしゃいます。避難しなかったからといって「東日本大震災は風化してしまった」と結論づけてしまうのは早計かと思いました。 また、実際に避難した人のなかには、避難した場所は寒いとかトイレがないなどの理由で避難しなかったとか、津波注意報・警報が解除される前に帰宅した人もいたそうです。

寒い、トイレない…岩手で津波警報解除前に帰宅相次ぐ トンガ沖噴火(毎日新聞、1月19日 8:58配信)
東日本大震災以来の「津波警報」 避難の課題が浮き彫りに/岩手(岩手放送、01月18日配信)

過去から学び、改善を続ける

すべての人に自助を期待するのは、無理なことです。たとえば冬なら防寒対策などして家から出られればいいのですが、外出中に避難注意報・警報が発令されたときに、家が避難指示区域にあり、帰宅せずに避難場所に向かう人もいます。多少の防寒と、非常用の簡易トイレと、トイレを利用するときにプライバシーが守られ、雨風にもさらされなくてすむテントや衝立などは備えるなどの備蓄は検討してもいいのではないかと思いました。自助は大切ですが、その自助努力が活きるのは、公助や共助と相乗効果があるときではないでしょうか。 現状の背景を知らないなかで外野が好き勝手なことを言うのは無責任ですし、担当者の方々のいままでの努力や気持ちを踏みにじることは本意ではありません。ここで言いたいのは、今までの災害や緊急時、そして今回の避難行動で分かったことを「過去からの教訓」として、それぞれがそれぞれの立場で未来に活かそうということです。過去から学ぶことで、未来が変わることを、あらためて期待したいと思います。まさに「PDCAサイクル」を繰り返しながら改善していくことが、求められているのです。

(中原)

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