11月12日~25日:女性に対する暴力をなくす運動

11月12日(金)から25日(木)までの2週間は、内閣府等が主唱している「女性に対する暴力をなくす運動」期間です。2001年から毎年実施されています。概要は、内閣府男女共同参画局のサイトをご覧ください。今年度の取り組みだけでなく、過去の啓発ポスターなども見ることができます。

この記事のアイキャッチ画像に使用したパープルリボンも、内閣府男女共同参画局のこちらのサイトからダウンロードしました。本当はリボン画像1つずつ保存して使用するものだと思うのですが、バナーのように長くしたかったので、全部並んだ状態を保存しました。

今年度の「女性に対する暴力をなくす運動」は「性暴力を、なくそう」をテーマに取り上げています。コロナ禍で在宅勤務やステイホームの時間が増えると、家庭内など外からは見えない部分で、さまざまなストレスも重なり、女性に対してとは限らないかもしれませんが、家庭内での暴力が増えている恐れがあります。日経新聞でも今年5月の記事で、2020年に寄せられたDV相談件数が前年の1.6倍に増加したことが報道されていました。

パープル・ライトアップ

各地の施設を紫色にライトアップする「パープル・ライトアップ」が行なわれています。初日の11月12日に一斉に行なわれましたが、25日までに実施するところもまだあるようです。ライトアップは2009年に東京タワーから始まり、今年は全都道府県でライトアップされます(朝日新聞「女性への暴力をなくそう 全国でパープル・ライトアップ」)。

ライトアップ以外にも、内閣府や参加自治体等では自治体の広報誌での掲載やパネル、資料、ポスターの展示やシンポジウムなど、さまざまな取り組みが実施されています。もしかしたら、外出先などで目にした方もいらっしゃるかと思います。

今回のキャンペーンに限らず、一年を通じてさまざまなライトアップ・イベントが行なわれますが、どのくらいの方がそのイベントの意味や目的を事前に知っているでしょうか。あるいは「あれ、今日はいつもと違う色のようだけど、何かのキャンペーンなのかな」と調べて見たりするでしょうか。多くの人は「きれいだな」と思うものの、そこから調べるに至る人は少ないのではないでしょうか。そうなると、ライトアップのメッセージがどう届くのだろうか、と考えることがあります。

ページトップへ

見ていても見えていない、見えると見かける

ただ、意識していないと、なかなか「見ても見えていない」状況になりがちです。人権活動をしている人たちや、自分や自分の友だちなどが置かれている状況に関係してるかも?という人たち、「へぇ~そういう運動があるのか」と思った人たちなど、一度意識したら、さまざまな情報が発信されていたことに次々気づくことがあります。

そのような現象は「頻度錯誤」によるのではないかと思います。「頻度錯誤」とは、なにか特定の事がらに関するニュースや情報について人が意識し始めると、日常生活において自分で情報を集めようとしなくても、その事がらに関する情報が目につくようになる現象をさします。

たとえば、現在、テレビのニュースなどで岸田首相をはじめ閣僚の方々が映ると、胸元には紫のリボンのバッジがついています。みなさんは、お気づきでしたか?

ライトアップだけで啓発の効果がどこまであるかはわかりませんが、自分がいま(性)暴力の被害に遭っていて辛い、あるいは自分の友だちなどが遭っているんじゃないかと思っているなど、意識が向いている人の目に留まるかもしれません。そこから、状況が変わっていく人が1人でも出てほしいと思います。

また、女性(だけではなく万人、ですが)に対する暴力をなくす運動は、本来は毎日取り組まれるべき活動です。しかし、こういう「運動」として期間を決めたキャンペーンを展開することは、メディアにも取り上げられやすいと思います。これは、子どもへの虐待やいじめ、環境保護に関するキャンペーンなどにも言えることです。頻度錯誤の効果を狙うこともできます。

今まで関心がなかった人にも、どうしたら自分たちの活動に気づいてもらえるか。これは自分たちの団体のことや活動のこと、そして自分たちの考えやめざす社会のことをまずは知ってもらおうとするときに多くのNPOが経験する課題です。活動に賛同してもらう、参加してもらうには、まず知ってもらわないと何も始まりません。何をどう伝えるか。せっかくのみなさんの想いや活動が広がらないと悩んでいる方は、もしかしたら頻度錯誤の観点からアプローチを考えてみるのも一案かもしれません。

ページトップへ

さらなる取り組みのために

「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」に相談するには「#8891(早くワンストップ)」という短縮番号をかけると、全国のどこから電話しても最寄りのワンストップ支援センターにつながるそうです。(これはスマートフォンからかける場合、位置情報をオンにしていないと、どうなるのでしょうか。)支援センターの相談受付日時は、都道府県によって異なります(参考:「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター一覧」)。

ほかにも、男女共同参画局だけでも3つの短縮番号を通じた支援活動が紹介されています。テーマは違いますが、たとえば救急車を呼ぶ方がいいかといった相談や子ども電話相談など、シャープに続く4ケタの短縮番号でつながる支援はたくさんあります。これらの番号が紹介されているカードをすべて持ち歩くのは大変ですし、いざというときにすぐ連絡できないかもしれません。

ふと思ったことのですが、これらの番号を、スマホやタブレット、パソコンなどの通信できるものにプレインストール(登録)してもらうことはできないのでしょうか。もしかしたら、そういう事例があるかもしれません。そういう取り組みをご存知の方がいたらぜひ教えてください支援活動の専門性があるNPOとも連携しながら、通話料がかからず年中無休でつながるようになってほしいと思います。

「女性に対する暴力をなくす運動」は25日(木)まで続きます。この記事をお読みくださった方は、25日までに、どのくらいこの取り組みに関する情報を目にされるようになるでしょうか。気になるようになってくだされば、幸いです。

(中原)

ページトップへ