ボーイスカウトアメリカ連盟、性的虐待訴訟で和解

さきほど、アメリカのボーイスカウトアメリカ連盟(Boy Scouts of America、 BSA)が、性的虐待に関する訴訟について、8億5千万ドル(940億円以上)の賠償金を支払うことで和解が成立したという報道がありました。

アメリカ歴史上最大の、子どもへの性的虐待訴訟となったそうです。

賠償金を支払うため、昨年、BSAはアメリカ連邦破産法11条に基づき破産を申請しています。11条での手続きは清算ではなく事業継続できるので、活動しながら和解をめざしていました。

ロイター通信の記事によると、この合意は判事の承認がまだ必要で、また保険会社が反対する可能性もあるとのことです。

虐待行為をした人は、アメリカのボーイスカウトだけでなく世界中でも一握りなのだと思います。私が知っているスカウト関係者はみなさん、子どもたちの成長を考え、またボランティア精神にもあふれている人たちです。

しかし、被害に遭った子どもたちがいることも事実。「あなたは運が悪かったのね。忘れましょう」ですまされるものではありません。加害行為があり、自分が被害をうけたと名乗り出ることにも、大変な勇気が必要だったと思います。人々の好奇の目にさらされたり、訴訟のために被害を「追体験」しないといけないこともあったでしょう。辛さは想像を絶します。

子どもへの性的虐待訴訟としてはアメリカ歴史史上最大の規模になったことに、この問題の深刻さが分かると思います。そして虐待を防止できなかったことの組織の責任が問われたというのは、性的虐待が「たまたま起きてしまった不幸なこと」と片付けてはいけないことを意味します。この意味は大きいと思います。

(中原)

参考サイト(いずれも2021年7月2日閲覧)