エシカル・バレンタイン

来週月曜日からは、2月です。今年は、節分の日が124年ぶりに2月2日になるそうです。太陽暦と太陽の動きの「ずれ」を修正するためということですが、節分の日に食べることが全国的な習慣のようになった、恵方巻の廃棄が気になります。

最近は、余った食物の廃棄など「食品ロス」の問題や、食べ物に限らず原材料の生産から収穫、輸送などの物流、販売そしてリサイクルや廃棄までの「モノのライフサイクル」の各工程での社会や環境、経済への負荷をいかに少なくするかという「エシカル(倫理的)な」視点での生産、そして消費者も積極的に「よりエシカルな消費」を選択しようという動きが高まっています。

東京都の消費成果総合センターでは、中学生向けにエシカル消費を伝えるサイトを作っていたりして、今ではエシカルという言葉がティーンにも知られる時代なのだなぁと思います。

先ほどの恵方巻もそうですが、2月といえば、バレンタインデーにチョコレートなどのプレゼントをしようという方もいらっしゃると思います。チョコレート製品に限りませんが、エシカル消費には、たとえば

  1. 生産や加工、物流や小売、リサイクルや廃棄など、製品のライフサイクルの各場面で環境への負荷が少なく、生態系を脅かさない
  2. 児童労働や劣悪な労働環境に加担せず、先住民族の伝統や暮らしを脅かすことなどがなく、原材料の生産者を買いたたかない
  3. 売上・収益の使途が環境や社会的に見て「価値がある」

という特徴が考えられます。1や2に関して、いまでは、さまざまな認証基準があるので、その基準を満たしているかを確認するのも1つの目安になります。「レインフォーレスト・アライアンス認証」や「国際フェアトレード認証ラベル」ほか、さまざまな基準やその基準に基づく認証システムがあることは、すでにご存じの方も多い通りです。

3は、たとえば売り上げの一部を、生産者の生活向上や児童労働をなくすためといった活動資金に使われる場合です。また、私も購入させていただいたことがありますが、JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)では、冬季限定で「チョコ募金」を実施しています。北海道帯広市に本社がある六花亭(ろっかてい)のチョコレートを、イラクの小児がん患者の少女たちの絵をデザインした缶にいれて「チョコ募金」(寄付)のお礼に送られてきます。今年はすでにチョコレート缶が売り切れていて、缶と同じデザインのポストカードを販売しているそうです。寄付はイラクの小児がんの治療支援などに充てられます。チョコを購入というより、寄付のお礼にチョコが届くと考える方がいいかもしれません。

ほかにも、ピープルツリーのフェアトレードチョコレートやネパリ・バザーロの環境に配慮された農法でつくられたインドのカカオと沖縄県の加工黒糖を使って岩手県陸前高田市でつくられたチョコレートなど、さまざまなチョコレートがあります。

チョコを「あげたつもり」で寄付するACEの「チョコ募金」などもあります。

ほかにも、国内の農業などの産業を応援するために国産や地産地消にこだわったり(これは海外からの輸送による環境負荷を軽減する狙いもありえます)、あるいはネパリ・バザーロさんの例でもありますが災害などの被災地を支援するなどの目的でチョコレートなども、社会的な付加価値があると言えます。

食べる人にとっておいしいものを選ぶのはもちろんですが、バレンタインデーに向けてチョコを探している方は、名の知れた高級ブランドのチョコレートもすてきですが、「あげて嬉しい」「もらって嬉しい」だけでなく、「こっちのチョコが売れる方が社会的にもいい」チョコも選んでみてはいかがでしょうか。

私自身は「そんなにチョコあげないといけないの?」と思いもするのですが、「もし、どうせ選ぶなら」社会的に付加価値があるものを、選んでみてください。

・・・NPOリスク・マネジメント・オフィスでは、このように「私たちは生活者としてモノやサービスを利用するときに、“もし”“どうせ”“できるなら”社会的な価値やストーリーがあるものを選ぶことも、世の中がよくなることにつながる」という思いから、SOVAP(Social Values Project)を進めたいと思っています。「エシカル」にも共通する考え方です。表立った活動は、もう少し後になると思いますが、少しずつ、応援したい・SOVAP的に面白いと思えるモノや活動を紹介していきます。そのうち、取材もできるといいなぁと思います。

(中原)

注:ここで紹介されている認証システムや商品等について、今回は取材しているわけではありません。内容の誤りや、誤解をうけかねない表現などお気づきの方は、ご連絡くだされば幸いです。