10月11日は国際ガールズ・デー

10月に入りました。今年も残すところあと3カ月。年末そして2022年の話をちらほらとするようになってきました。

10月11日は「国際ガールズ・デー」(International Day of the Girl Child)です。「女の子だから」という理由で学校に行くことを断念させられたり、10代前半で自分が望まない相手との結婚を強制されたり、就労や移動など、様々な場面での自由や権利が奪われている女の子や女性がいます。彼女たちの人生での選択・活躍の機会がひろがるよう世界になるよう、女の子たちが世界で直面している様々な問題に対して、女の子たちとともに声をあげて行動しようという日です。

2011年12月19日に国連が採択しました。2012年10月11日から毎年、この日を中心に様々なイベントが行なわれています。

国内での動き

国際ガールズ・デー制定を働きかけた国際NGO「プラン・インターナショナル」が、日本でも積極的に「国際ガールズ・デー」の普及や女の子支援のための国際ガールズ・デーにちなんだキャンペーンを毎年展開しています。今年はZOOMやInstagramなどを通じたイベントが企画されています。

私は大学に勤務していたとき、プラン・インターナショナルやその他のNGOや学校関係者などの方々とともにこの国際ガールズ・デーの普及活動にも関わりました。

2014年、17歳でノーベル平和賞を受賞した マララ・ユスフザイ さんの、受賞が決まった翌日(当日の朝だったかもしれません)に、大学生と国際ガールズ・デーのイベントを地域の施設で実施する予定だったので、学生たちと喜んだのを覚えています。

マララさんはパキスタンで女子教育の大切さを国際的に訴えて武装勢力に襲われました。イギリスに拠点をうつしオックスフォード大学を卒業。その後も、彼女の女子教育への信念は揺るぐことなく、積極的に活動を続けています。

マララさんの国連でのスピーチ

ノーベル賞受賞の前年、2013年の自らの16歳の誕生日に国連で演説した” One child, one teacher, one pen and one book can change the world.”(1人の子ども、1人の先生、1本のペン、そして1冊の本が世界を変えることができる)という、力強い演説を、久しぶりに聴きたいと思います。

Malala Yousafzai: 16th birthday speech at the United Nations (Malala Fund)
彼女のスピーチの動画と、英語のテキストが掲載されています。

マララ・ユサフザイさんの国連本部でのスピーチ(2013年7月12日、マララ・デー)(国連広報センター)
彼女のスピーチの日本語訳が掲載されています。

今こそ「○○だからムリ・ダメ」という考え方を変える

とくにコロナ禍で、日本でも(ジェンダーに限りませんが)子どもたちの学びの機会やあり方が、休校やオンライン授業などで先生やお友だちともなかなか会えなかったり行事が中止になったりということが続きました。コロナ禍では先生方も保護者の方々も試行錯誤を続けてこられたと思います。国際ガールズ・デーの理念は、日本でも決して無関係ではないことをあらためて実感しています。どうしても、コロナ禍で自分の夢をあきらめたり方向転換したりしないといけない状況の人もいると思いますが、形を変えても夢が実現できるよう、あるいは夢を実現させるためのアクションをおこせるよう、女の子に限らず本人が一歩を踏み出せる見守りと本人が必要なときの後押しができる社会にすることが大事だと思います。

プラン・インターナショナルが国際ガールズ・デーに関する啓発キャンペーンでの「女の子だから (Because I am a girl)」というフレーズは、とても強いメッセージがあると思います。「女の子だから」「男の子だから」「同性愛者だから」「障がい者だから」「外国籍だから」・・・と、周りがその人の可能性を閉じてしまうと、本人も諦めるようになり、自分には価値がないと思うことにならないように、「○○だからムリ・ダメ」という考え方を周囲も本人も変えていくことが必要です。

いまは「コロナ禍だから」ということが多いです。感染症なので仕方がない部分もあるのですが、「0か1か」の極端な二択ではなく、「これならできる」「ここまでならできる」という、0と1の間のグラデーションで、感染状況を見ながら「コロナ禍だけど」できることを見つけていくというのは、私たちひとりひとりについて、そしてNPOについても、今、そしてこれからまだしばらくは求められると思います。

とはいえ、先日、子育て支援活動をしている友人と、この1年半以上、常にそのようなグラデーションのどこにするかの判断の連続で、精神的にとても大変だという話をしたところではあるので、コロナ禍前より予測できないことが増えた、NPOや地域の活動が不確実な時代になったと、あらためて感じています。正解が何かわからない時代ですが、危機の時だからこそ、組織やセクターをこえて、情報や意見を交換・共有しながら、必要ならお互いが助っ人を出し合いながら活動していくことも検討してください。

国際ガールズ・デーから話がひろがってしまいましたが、マララさんのスピーチを聴くと、自分ができることを、私たちでできることを考え、実行する後押しをされている気がするのでした。

(中原)